ワークプレイス栞は2012年(平成24年)5月、暮らしの中で交流を生み出すことを目的の一つとした、名張育成会が初めて住宅街にオープンした、多機能型の福祉事業所です。
そして、名張市立百合が丘小学校とはお隣さん同士になります。
ワークプレイス栞は、「働きたい」という意欲のある障害者対して、必要な支援を行ったり就労場所の提供を行う事業のほか、給食配食事業、またアート活動を支えるアトリエやギャラリー、四季の移ろいを感じながら市民の方にくつろいでいただけるカフェがあります。
名張市立百合が丘小学校では、自分たちが住む地域に関心を深め、ともに生活するために必要なことを知る社会学習の一環として、毎年2年生と5年生の児童が事業所を訪れてくれます。
しかし、今年はコロナ禍の影響で、事業所長が代表して学校に伺い、説明を行うことになりました。
5年生への説明は午前と午後に分かれ、まず「ワークプレイス栞って、どんなところ?」というテーマで、事業所の役割や設備、また障害者への取り組みなどを、スライドを使って説明しました。
午後からは、「ワークプレイス栞には、どんな人がいるの?」というテーマで、利用している方について個性や可能性、そして地域で暮らすことの大切さなどの話をしました。
「耳をふさいで声を出してごらん。外部の音に敏感な人は、こうして音が聞こえないようにしているんですよ。また、名張育成会を利用している障害のある人は、自分の考えや思っていることをうまく表現できない人や、理解をするのに時間のかかる人が大勢います。
それぞれに暮らし辛さを持っているのだけれど、その人のペースに合わせるなど、私たちの理解と工夫があれば、障害のある人にも暮らしやすい、優しい街ができるんだよ。みんなと同じ名張市民。優しく見守ってください。」
熱心に耳を傾け、メモを取る生徒さんたち。
「どんな社会になったらいいんだろう?」そう一生懸命に考える姿が印象的でした。
一通りの説明の後、多くの生徒さんから質問がありました。
『今、一番困っていることは何ですか?』
・・・それは、新型コロナ感染防止への対策です。事業所には、身体の弱い人が多いので、新型コロナに罹患してしまうと重症化して、命に関わることもあります。職員自身の対策も含め、万全の体制で臨んでいます。
『街で見かけたら、利用者さんに声をかけてもいいですか?』
・・・声をかけても良いけど、突然の大きや、後ろから声をかけたりすると驚いてしまうので、優しく声をかけてくださいね。
『ワークプレイス栞で作っているお弁当はどこで食べられていますか?』
・・・銀行、市役所、また歯医者さんなどで働いている人から注文をいただいて、食べてもらっています。
管理栄養士さんが考えたメニューだから、バランスがとってもいいんです。となりにあるカフェ輪のランチでもたべることができますよ!
多くの質問をいただいた後、
『以前、学校の前で話しかけた時、ニッコリ笑ってくれてとてもうれしかったです。そして今日のお話を聞いて、ワークプレイス栞は、利用者さんのことをとても大切にしているんだな。と思いました。』
と、感想を述べてくれた生徒さん。改めて身の引き締まる思いでした。
すべての学習が終わった後、「握手してください!」と、2名の生徒さんが突然駆け寄ってきました。今回の社会学習が、とても勉強になったそうです。
さて、生徒さんたちの素朴な気持ちが街の未来に役立つ、そんな期待が膨らみ、改めて社会学習の大切さを感じました。百合が丘小学校の皆さん、どうもありがとうございました。